みつばち屋嵐について

完熟へのこだわり

「はちみつの“完熟”ってどういう意味?」と疑問に思われるかもしれません。実ははちみつにも“完熟”があるんです!

蜜蜂は花から採取してきた花の蜜を巣の中に蓄えます。その際、蜜蜂たちは自らの羽根をはばたかせて風を送り込み、蜜の中の水分を飛ばします。そうして、これ以上は水分が飛ばないというところまでくると、巣にフタをします。

蜜蜂たちは十分に水分を飛ばし濃縮し終わると巣孔にフタをします。下の写真のようにフタをされた状態になると、糖度の高い濃縮された“完熟のはちみつ”のできあがりとなります。

「ほっといても蜜蜂が完熟させてくれるならそれを待てば良いんじゃないの?」と思われるかもしれません。ところが、完熟させるといくつか問題が生じます。

まず、完熟を待っていると採蜜まで時間がかかってしまいます。1つ種類の花が咲いている時期は、1~2週間ぐらいと実は短いことがほとんどです。そうなると、なるべく沢山のはちみつを採取するためには、巣箱の中を早く空にして蜜蜂に新しいはちみつをどんどん蓄えて貰った方が効率が良くなります。ところが、完熟させるまで待っているとどうしても時間的にロスが出てしまい、採蜜量が少なくなってしまうのです。

また、フタをしてしまうとそのフタを開けてやらなければ採蜜出来ません。フタは熱した包丁のようなものでロウを溶かし切って開けるのですが、その際どうしてもロスが生じてしまいます。ロスを少なくしようと思えば、フタをする前に採蜜してしまった方が都合が良いのです。

養蜂家は、しっかりフタがされた完熟はちみつの方が美味しいことを知っているのですが、収穫量を優先して早く採蜜することも多く、そうなると糖度がはちみつの基準(糖度76度)に満たないものも出てきます。

その際どうするかというと、加熱処理をして水分を飛ばすことで濃縮し、糖度を高める処理をします。しかし、水分が蒸発するほど高温で加熱を行うと、せっかくのはちみつの中の生きた酵素は失われてしまいますし、はちみつの醍醐味である花の芳醇な香りや風味も飛んでしまいます。

ですので、本当に美味しいはちみつをたくさん採蜜するためには、蜜蜂たちが水分を飛ばしフタがされるまで待つか、もしくはそのギリギリのタイミングを見定めて採蜜する必要があり、まさに養蜂家の腕の見せ所でもあるのです。