養蜂家の想い

みつばち屋 嵐
みつばち屋 嵐
伊藤 浩

私はもともと、それなりに規模の大きな蜂蜜業者で販売員として働いていました。 しかし『本物のはちみつ』を世に届けるために、独立して養蜂家の道を歩む決意をしました。 少し長い文章となりますが、 私の原点となっている『本物のはちみつへの想い』をご一読いただけましたら幸いです。   ・・・ 世の中で販売されている蜂蜜の多くは『精製蜂蜜』という、 無色透明で風味もない蜂蜜が混ぜられていました。 この『精製蜂蜜』は、いちおう本物の蜂蜜を加熱濃縮して作られるため、 業界では長らく本物の蜂蜜に混ぜても表示する義務がありませんでした。 しかしその原料となる蜂蜜は、 外国産のものや、そのままでは売り物にならない質の良くないものであり、 安価で量を生み出せるけどちょっと得体の知れない蜂蜜…といったものです。 この安価な『精製蜂蜜』は、 どれだけ混ぜても“純粋蜂蜜”や“Pure蜂蜜”とうたって堂々と売ることができました。 それはつまり、 混ぜれば混ぜるだけ価格を安くでき、 また利益を上げることができる便利な代物でした。 しかし、食べ比べてみれば一目瞭然なのですが、 『本物のはちみつ』と『精製蜂蜜』とは全く別物です。   ・・・ スーパーなどで数百円で市販されている蜂蜜のほとんどは『精製蜂蜜』が混ぜられていました。 また、道の駅や産直で販売されている千円を超える蜂蜜の中にも、精製蜂蜜で増量されたものも出回っていました。 蜂蜜の値段の差は『精製蜂蜜』を混ぜた量の差といっても過言ではありません。 それは、自分もまさにその業界でどっぷり働いていたのでよく知るところです。 これまでは表示義務がなかったため、 それを消費者が見分ける方法はありませんでした。 (※令和元年になってようやく法改正されました) そのため多くの日本人は、 「実は生まれてから一度も『本物のはちみつ』を口にしたことがない」 …という嘘みたいな状況になっていたのです。   ・・・ 「儲けのために混ぜ物をした美味しくない蜂蜜を、さも本物のように売り続けて良いのだろうか?」    ・・・ その疑問は私の胸をどんどん締め付けて行きました。 そして、自分が胸を張って売ることができる『本物のはちみつ』をより多くの方の手に届けることを決意して、 独立して養蜂家として生きる道を選びました。   ・・・ この想いが私の養蜂家としての原点であり、 この気持ちを忘れずに今も日々養蜂と向き合っています。 ミツバチたちと共に育てた美味しい『本物のはちみつ』を、 ぜひ多くの方に味わって頂けましたら幸いです。